短鎖脂肪酸の体へのはたらき

おなかが温まる

常在菌が作り出す短鎖脂肪酸の働きについて記述します。
短鎖脂肪酸の働き

 

 

 

 

 

 

 

弱酸性の腸内
殆んどの常在菌は酢酸を生成して、自分たちの住処の環境を整えることにより、腸のpHが弱酸性になり、抗菌性が高まります。

酢酸、プロピオン酸、酪酸などでpH6くらいになるとOー157、赤痢菌、サルモネラ菌の抗菌力が十分にあります。
乳酸はpH6では同じような抗菌力はなく、pH4くらいでようやく抗菌力がつきます。
乳酸飲料をたくさん毎日食べるようにと乳酸菌メーカーは言いますが、乳酸の抗菌力は他の短鎖脂肪酸より低いです。

体の中で腸の中が一番酸化しやすいと言います。
腸内発酵が活発で、弱酸性になることで還元作用(酸化を消す作用)が強いのです。
緑黄色野菜を毎日取りましょう。

下痢を改善するしくみ
腸内が発酵することで、形ある食べ物が栄養素にまで分解します。
マグネシウムもカルシウムも発酵状態のときは、イオン化といってとても吸収されやすい形になり、血液に吸収されやすくなります。

また、腸内の水分を丁度よく調整するときは、腸内の発酵状態がいいときの状態です。
発酵でできた短鎖脂肪酸がナトリウムと水にひっついて、血管の中に引き込み下痢を治していくのです。
ですから、下痢や軟便のときは腸内を発酵させるために、一時的にビフィズス菌や乳酸菌を摂るのです。
食事で常在菌を育てて、腸内を発酵状態にすることにより、腸内環境を安定させることが大切です。

腸内発酵が腸を温める 冷え性対策
腸の動きと血流を高めるのはやはり短鎖脂肪酸の力です。

特に酪酸は全短鎖脂肪酸の15%程度の割合ですが、大腸の蠕動運動や血流促進の「大腸のエネルギー」の70%〜80%をまかないます。

腸を温めるために、人参や生姜湯を飲んだりしますが、途中でみんな吸収されて大腸まで届くことはありません。
腸を温めることの一番はやはり腸を発酵環境にすることです。
バランスの良い常在菌の餌を摂り、発酵力が弱いときは発酵の母である酵母をしばらく摂ったりしながら腸を温めることが良いです。

腸内の発酵に適した温度は37度〜38度です。
そうすると脇の下の温度で36度〜36.5度の測定となるわけです。
脇の下の温度が35度〜36度以下の人は腸内発酵が低いですから、常在菌が喜ぶものをある程度続けて、体温を上げることがいいのです。
シンプルですが一番の冷え性対策になります。

腸内を科学的に活動させたほうが、薬的に温めるより暖かさでは実感があると思います。

腸の粘膜は生きている
短鎖脂肪酸が腸を丈夫にする大きな要素の一つとして、腸粘膜を丈夫にすることです。
常に消化吸収している生きている腸粘膜は、数日で剥がれ落ちてゆき、新しい細胞を作り出されます。
剥がれ落ちた粘膜と常在菌の死骸が、便を太く作る材料になるのです。

このような粘膜のエネルギーはまずは食が基本で、次に発酵生成物の短鎖脂肪酸が何よりの栄養で効率がいいのです。
最も有効なのが酪酸なのです。

脂肪肝の予防
でんぷんを発酵させて酪酸やプロピオン酸ができます。
コレステロールは肝臓でできるのですが、プロピオン酸はこのコレステロールの生成を抑える作用があります。

でんぷん質のご飯や玄米などの中に、アミロースという繊維質が入っていますが、このアミロースが大腸まで流れ着いて、でんぷんを好む常在菌に発酵されてプロピオン酸ができます。

冷えたご飯はアミロースの量が増えているので、最近、冷やご飯を食べると、ダイエットになるという情報はこういうところから来ています。
プロピオン酸が多いとカルシウムの吸収がよくなることもわかっています。

免疫力のバランス
活性酸素が腸粘膜を傷めて、炎症状態になり粘膜の潰瘍が治りにくくなります。
免疫細胞はそのような状態を見て、サイトカインという刺激を出します。

サイトカインには炎症を抑えるものと、過激にするものの両方があります。
潰瘍性大腸炎の場合、よく免疫を抑える話を耳にします。
常在菌が作る短鎖脂肪酸の酪酸は、このサイトカインのバランスを調整して、炎症を鎮める方に調整するのです。

調整する細胞を制御性T細胞と言います。制御性T細胞=Treg(ティレグ)=「reguratory T cell」と呼びますが、この制御性T細胞数を増やすのも酪酸が関係しています。

また酪酸は、大腸ガンを予防したり、がん細胞をアポドーシス(死)させたり、がん細胞を正常細胞に変化させる(細胞分化)ことが解っています。

アンモニア、腐敗産物を抑えるはたらき。

腸内では常在菌は短鎖脂肪酸も作るが、同時にアンモニアやアミンのような窒素化合物も作ります。
これらは体に害があることがあります。

しかし、常在菌はこれらの窒素物質と短鎖脂肪酸からアミノ酸を合成して、さらにビタミンを合成して利用するため、役に立つことも多いのです。

常在菌は分解と合成が両立してバランスが取れていれば、この上ない味方である。
偏った食事や暴飲暴食で常在菌のバランスを崩さないようにしたいものです。

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