食事と腸内細菌の変異
「食生活が悪いから大腸癌になるんだ!」とよく言われます。
食事が直接大腸粘膜に悪い影響を与えることにより、粘膜がガン化すると考えられることです。
しかし、どんなものが、又どんな食べ合わせが、又食事の質なのかが結論が見当たらない上に、生活様式を変えるまでに至らないのが現実です。
しかし、日本の食事が50年前くらいより西洋化したことを踏まえて、これまで各分野より裏付けが取れてきています。
真実は食事が偏ったり変化することで腸内細菌の種類やそれぞれの働き方が変わっていくことが解明されてきています。
高タンパク、高脂肪食は胆汁の分泌量の増大します。
当たり前といえば当たり前ですが、しかし腸内細菌にとってはこの胆汁増大はを許すわけにはいかなかったのですね。
ガンを発生させる仕掛け役(プロモーター)になり、発がん物質を作るようになっていくわけです。

巷ではガンを誘導する腸内細菌叢の話題も散見するが、食環境によって腸内がある状態になったとき、発がん物質の要素を持った細菌の餌を増やさないようにすることが大切なのです。
胆汁酸の善し悪し
脂肪の取りすぎると、脂肪の吸収をするために胆汁酸の分泌量が多くなってきます。
大便検査で胆汁酸の分泌量が多くなることが証明されています。
胆汁の中の胆汁酸には一次と二次胆汁酸の二種類がありますが、私たち体が作り出すのが一次胆汁酸でコール酸とケノデオキシコール酸というものがあります。
胆汁酸は胆汁に含まれる有機酸で、肝臓でコレステロールから作られます。私たち体で一次胆汁酸のコール酸、ケノデオキシコール酸が合成して、さらにアミノ酸のグリシン、タウリンとの抱き合って、胆汁成分として十二指腸に分泌されます。
胆汁酸のはたらきは食物として腸に入ってきた脂肪を細かくして腸管から吸収させることです。
腸管内に分泌された抱き合った胆汁酸は、腸内細菌のはたらきにより抱き合いを解かれて、デオキシコール酸やリトコール酸などの二次胆汁酸へと作り変えられます。
この二つの二次胆汁酸がその毒性によって腸粘膜の炎症をもたらすだけではなく、発ガン因子になったり、がん細胞の増殖を促進してゆきます。
そう考えると二次胆汁酸など作らなくても良いのではと考えられるわけですが、抗菌性が高く悪い感染菌の増殖を抑えてくれる良い仕事をするわけです。
両刃の剣とも言えますが、過ぎたるは及ばざるが如しです。
脂っこいお肉の食事が多くなった日本の食事の歴史と、大腸癌が多発する因果関係がこのように明らかになるわけです。
特に大腸癌では二次胆汁酸がガンを作る因子であると動物実験で解ってきております。
脂肪の摂取が多いと脂質成分が酸化して過酸化脂質を作り、ガンの促進となる遺伝子の合成に関わってしまうので注意が必要です。

肉の摂取と発ガン因子
タンパクの中の特定のアミノ酸から大腸菌はインドールという物質、又他の腸内細菌によってスペルミジン、フェノール、チロシンなどの代謝物質がガンの促進因子となって行きます。
これらの発がん物質やプロモーターは出来ても糞便になって排泄されれば良いが、悪いことに変化した腸内細菌叢は発がん物質やプロモーターの活動を促進してしまうことになるのが怖いところです。
細菌が悪いのではなく発がん物質やプロモーターになるような酵素が腸内に少なくなるようにすれば良いことです。
赤身の肉(牛肉や豚肉など)摂取量が過剰になるとニトロソ化合物も増えることも知っておくと良いでしょう。
ガンというのは色々な要素が絡んでいるのでどんな時に、腸内細菌叢がどのように働くのかがきちんとわかってデータがあるわけではありません。
しかし、食べ物の偏りにより発ガン物質やプロモーターとなる要素を持っている菌の餌が増えて、それを常在菌が食べることのよってガンが増えていくことは言うまでなく間違いのないことである。
怖い話であるが、潔癖症の人が予防ためと言い抗生物質や抗菌剤を継続して服用する人もいます。
すると腸内細菌叢も抗生物質に負けじと薬に対応できる新しい菌体が増えるなどして、感染症拡大にもひと役買う羽目にもなってしまいます。
腸内細菌叢は生き物です。人と健康に共存しているものです。
病気に強い腸内細菌叢を毎日育てるために好き嫌いや偏った食事をしないことです。
肉の食べ過ぎはいけないわけではなく、体は主にタンパク質でできているので成長盛りの子供には必要な栄養です。
高齢になれば肉を減らしても腸内細菌が元気でバランスが良ければ、タンパク質も合成してくれるのです。
腸内細菌の作るものはとてつもなく人に合理的なものを生成していることを知ってください。
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